ひと昔前までは、さまざまな場所で親しまれてきたタバコですが、最近では公共施設の分煙化や嫌煙運動が盛んになり、タバコを吸うことのできる場所が少なくなってきました。
このようなタバコに対する意識や取り組みの変化には、一体どのような背景があるのでしょうか。今回は、日本の分煙運動は世界的に見てどの程度進んでいるのか、日本の喫煙文化はこのまま衰退してしまうのかなど、喫煙環境の移り変わりやタバコの健康への影響も含めてご紹介します。
昔は、比較的どこでもタバコが吸えた
かつての日本は、喫煙に関して寛容な国でした。
駅やレストランなどの公共の場所はもちろん、電車の車内にさえ灰皿が備え付けられていました。オフィスや会議室でも特に分煙対策はしておらず、タバコを吸いながら会議を進めることが普通の光景だったようです。未成年の喫煙はもちろん禁止されていましたが、成人をこえてからはタバコを嗜むのが大人としての証しという考え方もありました。
当時は病院の待合室にさえ灰皿が用意されていたというから、今となってはちょっと驚きです。タバコの健康への影響はもちろん認識されていましたが、当時はそれよりもひとつの文化として認知されており、特に文筆業の方は集中力を高めるアイテムとして利用していたそうです。もっとも、タバコに集中力を高める効果があると実証されているわけではないため、これは一種のイメージによるところが大きいと考えられます。
今と昔で喫煙環境が変化した理由
喫煙に対してここまで神経質になるのは、学校教育への配慮も影響していると考えられます。未成年者の喫煙に歯止めが掛からない中で、全国の小中学校では喫煙の悪影響を繰り返し生徒に教え、教員の学校内での喫煙も徹底的に禁止しています。また世界的にも嫌煙運動は広がりを見せており、健康志向は今後もさらに加速していくでしょう。
マナーと喫煙場所を守ってタバコを吸おう
しかし愛煙家への喫煙スペースの準備なども同時に行われており、主要なターミナル駅では構内に喫煙専用スペースが設けられています。またファミレスなどでは喫煙席と禁煙席が区切られており、タバコを吸える個室をつくってタバコを吸う方も吸わない方もどちらも快適に過ごせるように工夫がされています。お店によって休日は全席禁煙にしているところもあります。
このような流れの中、タバコのイメージを必要以上に悪くしないためにも、喫煙者のタバコに対するマナーの向上が不可欠でしょう。喫煙者は喫煙スペース以外の場所では吸わない、吸い終わったタバコの火は必ず消す、タバコの吸い殻は道端に捨てないなど、基本的なマナーを守りタバコを吸うことが大切です。
おわりに
タバコへのイメージは時代によって、あるいは世代によって微妙に違いがありますが、今の日本では喫煙者とタバコを吸わない方の両方が、気持ち良く同じ空間で過ごせるよう分煙対策が徐々に広まっています。
また、タバコによる体への影響を考慮する方が増えたり、タバコを吸う場所が限られたりすることから最近では禁煙がブームにもなっているようです。禁煙グッズの豊富さや、禁煙外来などの専門医への相談も気軽にできるようになっているため、こうしたサポートを上手に活用すれば、禁煙に成功することもできるでしょう。
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